ポルテーラ2013


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"マドゥレイラ、、、私の心が流れに身をまかせたところ"

リオデジャネイロ、1970年

プレジデンチ・バルガス通り

「色づいたこの通りで、ポルテーラは自らのカーニバルを行う、、、」

汗と涙にぬれた顔で私は、私のエスコーラがまたひとつ新しいパレードで観客席を虜にするのを見る。今回は特別な意味をもって。ウォームアップを行いながら、、、「私は感じた。心臓の鼓動が速くなり、身体全体が何者かに乗っ取られ、私の喜びが戻ってくるのを、、、」

そこで私は考えた。
「私の心は狂おしく愛を求める、、、」しかし、来る日も来る日も私を虜にするこの愛とはなにものなのか?結局のところどこからやってくるものなのか?この話はそもそもどのようにして始まったのか?

では、それを私が解明するとしよう。

こうして、高ぶった感情で魂を熱くして、私はマドゥレイラへと赴いた。電車で。何十年も前にパウロ・ベンジャミンがやっていたのと同じように、サンバを歌いながら。
「ボクはサンバを歌う
なぜならば、こうでなければ満足できやしないから
ボクはサンバへと向かう
なぜならば、それと離れては生きちゃいられないから、、、」

私は、「巡礼者」のように、そこに暮らした人々の足跡をたどり、その人となり、その文化、その信仰、その歌、そのサンバを発見したい。その歴史を発掘したい。

かつて、ラバ追いと奴隷と牛飼いと行商人と皇帝が踏んだ道、仕事と汗の道を踏む。かつて、農場とサトウキビ加工工場と信仰以外に見るべきもののなかったところ。そう、全ての話は信仰から始まったのだ。

そして人々は踊り、歌う。白人が踊り、黒人が踊る。
「オレは石を踏んだ
そしたら石がぐらついた
奴隷小屋はもうなくなったんだ」

逃亡奴隷、解放奴隷。祭り、断食、チャリティ。サンバ、ダンス、音楽、そして宗教。芸術をもって痛みに立ち向かう。

ウンバンダの祈祷所。カンドンブレの祈祷所。統率と神秘が、「辺境」に衆目を集める呼び物となる。

土の道、鉄の道。

やがて、あちらからもこちらからも人々が通うようになる。国内からも国外からも移入者が増える。道は街道となる。

土の街道、鉄の街道。

発展にともなって、行商人が現れ、それがやがて屋台へと変化する。そして屋台は店へと変化する。店は市場へと変化する。

そして私は、、、私の旅を続ける。

道 を進む私の耳に、打楽器的なリズミカルな音が聞こえてくる。調子が整った、タップダンスのような音。しかしそれは、人々が踊り、蹴り、跳ぶ、普通の足が作 り上げた音だ。新たな道を切り開いてゆく足の。ステージであろうと、アスファルトであろうと、草の上であろうとも構わない。大事なのはジンガだ。マランド ロのもつジンガを思い出させるような。この歴史が生み出した多くのマランドロたちのように。あるいは、新たな歴史を生み出すべくここにやってきた多くのマ ランドロたちのように。白人、黒人、混血、、、色々なマランドロ。音楽にしてもそうだ。白人音楽、黒人音楽、混血音楽、、、今風にはブラック・ミュージッ クとか言うべきか。

「カーニバルには希望がある
遠くへ行ってしまった人が、記憶の中に生き続けますように
悲しんでいる人が、ダンスの輪に入れますように
大人が子供になれると気づきますように」

そして打楽器演奏は続く。

マルシーニャス、マスカラードス、コレットス、バイアーナス、ブロッコス・ヂ・ジュージョ、カーニバル、、、

これらはみな、大騒ぎの道だ!誰もがなりたいものになれる、女が男に、男が女になれる、仮装の道だ。そして、この仮装・幻想という夢から、史上最大級のエスコーラ・ヂ・サンバの内、2つが生まれた。

また今日、誇らしいことに、ポルテーラとインペリオが一緒に歌う。我らのこの地が「私の心の中で永遠の存在であり、詩人たちが歌い、書く着想をもたらす」と。

これがマドゥレイラだ。愛、激しい活力、郊外に誇りをもって住まう人々の場所。高貴な心を持った庶民が住む場所。そう、ここにはマジェスターヂ・ド・サンバ(サンバ大公・・・ポルテーラのバテリアの通称)が居を構えているのだから。

「その青を
定義などできない
空の色でもなく
海の色でもない」

道はたくさんある。そのたくさんの道を通って、私はその歴史を辿る。そうする内に、段々と、私自身もその一部を構成するようになってくるのを感じる。今日また出会うことになる、この場所、この道の一部に。

私はパウロ。パウリーニョ、、、ダ・ヴィオラ、、、ポルテーラの。

誇りを持ってみなさんにこの歴史をお話ししよう。結局、、、「私の心はその流れに心をまかせた。」

そ して今、私をここに運んだ同じ電車に乗って、私は戻ってくる、打楽器を叩き続けて。叩き方はパウロ・ベンジャミンがやっていたのとは異なるが、永遠に「サ ンバの首都」とみなされ続けるべきこの場所とその記憶を保持して、今日まで全ポルテレンセが続けているのと同じやり方だ。

「マードゥレーーイラーーー、ラーラーラヤー」

パウリーニョ・ダ・ヴィオラ
の代筆として、パウロ・メネゼス(と、またしても道は重なる)

このエンヘードを、ポルテーラが設立以来たどった90年、および、残念ながら我々のもとを去り、天上界にあるサンビスタたちのオリンポスからポルテーラを祝福し続けている全てのポルテレンセたちに捧げる。

企画・調査: パウロ・メネゼス、カルロス・モンチ


(サンバ・エンヘード)
作: ヴァンデルレイ・モンテイロ、ルイス・カルロス・マッシモ、トニーニョ・ナシメント

さあ、行くぞ、私はギターをもって歌う
この愛には謎がある
私が身をまかせたこのあたりに
ラヤー
私たちの歴史はその辺で始まった
サトウキビ農場の加工作業所で
「カナヴィア(サトウキビ畑)」の歌から

チャペルの鐘を鳴らせ
ほら、、、今日は聖人の日だよ、奥さん

ジョンゴの踊り手たちのミロンガがある
太鼓が私を踊りに誘う

鉄道の回る車輪の上で時はめぐり、やってきた
パルチードアルトの発想
韻文詩の形で市場で披露された
まさにこの地で
舞台の上でスターが輝き
草地の上で「マドゥーラ(熟女)」がステップを踏み
いかしたマランドロが踊った
異なったジンガのパゴーヂのようなものだ
ブロッコができた頃
ブラックのスイングがならした
そして、黒きバイアーナが回った

大騒ぎの中に浸れ、面倒はなしで、さあ、信仰のままに
仮装の幻想の中に
その気があれば、できるようにやったらいい(ヴァイ・コモ・ポーヂ)

やがて皇帝の丘(セヒーニャ・インペリアウ)が興った
道は異なるが同じ習慣を基にして
ポルテーラ、私の郊外住人としての誇り
ポルテーラは電車で最上級の詩人たちを送り込み、歌わせる
マドゥレイラは単なる場所ではないと
私にサンバを促す夢の首都であると

踊りの輪が開く、マドゥレイラの到着だ
さあ、土ぼこりが舞い上がる
打楽器演奏がジンガを促す、ヨヨー(ボーイズ)
ジンガだ、ヤヤー(ガールズ)

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