ウニードス・ダ・チジューカ 2015

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「時に記された物語――クロービス・ボルナイによるスイス的なビジョン」


今でも思い出す。父の足元に座って聞いた、父が読み聞かせてくれた 数々の本。その中にあった魔法の国の話、サラブレッドに跨って白く凍った山々へと向かう騎士の姿を活き活きと描き出す物語の中を、私は旅していた。竜が列 をなして空を飛ぶ。城の上を、村の上を飛んでいく。怯えた人々が、ついに悪魔と契約を結んで橋をかけ、道を進む。膨らむ想像に揺り動かされて、高ぶる感情 にとらわれて、私は時が過ぎるのも忘れていた。時計の針が詩のように踊る脇で、国境のない世界の登場人物を呼び起こし続けた。

残酷な支配 者の手から我が子を救い出した、弓の名手である勇敢な狩人に、私は夢中になった。皆に尊敬される善人で、郷土の独立のために、そして同胞たちの自由のため に戦った。空から落ちた気高い星々のかけらに覆われた氷の丘を登ったところには、伝説の巨人が住み、冷たい息を吹きつけて、作物や湖を何かれ構わず凍らせ ていた。そこで、大事なものを守るべく常に見守ってくれているのがアルプスの天使たちだ。

瞬間瞬間に、オルゴールの歯車のように思い出が 廻った。度ごとに、想像すら及ばぬ功績・成果が生き生きと現れて、途端にポケットがいっぱいになるような、手のひらに抱えるような、色々な道具をひとつに まとめて手にしたような感覚が訪れた。また別に興味をひかれた箱には、時すらも消すことができない秘密の鍵が収められていた。

突然に形を 成す新しい時に私は飛ばされる。時計の針があらぬ方向に回り、カッコウが「新しい時の始まりです!賢明にお楽しみを」と告げる。目の前の本に、頭脳明晰で 心のきれいな人物によって書かれた思考や論説が記録される。彼もまた、時計の針の回転につれて、未来へと旅をして、時を公式に、公式を夢に、夢を現実に変 えていく。時が飛ぶ。時が行く。太陽の力を受けて飛ぶ飛行機で空と海の間を滑空する旅人の輝かしい物語の中へと、時が私を運ぶ。

かくして 新しい時が現れる。行く人、来る人、とどまる人。旗が飛び、踊り、回る。そこに魔法の力を秘めた巨大なホルンが奏でる完璧なハーモニーのメロディが響く。 それよりも見逃せないもの。この魅惑の物語の中、一人の彫刻家が動きを変え、望みをすべてかなえた。自らの手による芸術をして、かの色鮮やかな場所に欠か せない存在たらしめて。豪華な制服に身を包んだ衛兵たちが境界を守っていた遠い時代の鮮やかな色。白紙のノートの上に遊ぶ色。韻律を成す筆跡。これらが私 には見えない何かを描き出していた。それから私は、機械や旅する者たちの映画を通じて、未来へと進む。

雨粒が空から降る。雲の間を漂っ て、山を下り、牧草地や泉を潤す。ページを読み進めた私の目の前に一つの工場が現れる。今までに食べたすべて、そして、今までに飲んだすべての味を、私は 感じる。 何リットルも、何リットルもの、香りと味に満ち満ちた新鮮な牛乳。それがちょっとした魔法で、山積みのチーズへと変化する。そして高みから私は、王冠が輝 くのを見る。なんと、、、王様がいる!そこで私は時計の針が回るのに気づく。料理人が鍋をかき混ぜる匙のように、せわしなく動き続ける。どっちを向いても たわわに実ったブドウの房であふれている。滝のように、そして川のように流れる、美味しいチョコレートが、私の味覚を刺激して私の記憶をたどらせる。そし て、カッコウ?「工場は止まるわけにいきません!」と、明るく歌うように告げる。

ページも残り少なくなってきた。昨日の物語と今日の物語 が、明日の物語と混じりあうのを、私は見る。目の前に、今ここに、私に向かってひとつの道が伸びているのに気づく。一年中続く、太陽が輝くまで続くお祭 り。様々な扮装をした群衆が、楽器を鳴らし、時の仕掛けの針を回し、韻文詩の中に躍り、灯火や輝く色彩を呼び覚まさす。もはや子供時代の話ではく、彼の地 の物語に魅了されたまま、ひたすら練り歩く群衆。私がいつでも祝ってきたたくさんのカーニバルが行われたこのサプカイの中で私は出会う。時に記された物語 をもう一つ書き上げる。この幾千の富にあふれた場所で、スイス・チジューカ・ブラジルの紐帯を。

カーニバル部:
マウロ・キンタエス
アニキ・サウモン
エウシオ・パイン
マルクス・パウロ
カルロス・カルヴァーリョ

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