ウニードス・ダ・チジューカ 2004

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「創造の夢と夢の実現、不可能な時代の科学手法」


 人類の歴史に刻まれた科学的発見は全て、一旦は、夢でした。私たちの日常にある発明の多くは、人の高望みにすぎないものでした。身体、重力、距離、時間、空間、物質の変換等、様々な限界に敢えて挑んだ人々の。

 夢見ずにいられないというこの性質が、人間が限界を超える原動力となりました。自然に対して、その流れを阻害し、制御し、克服できると信じつつ、人は挑みます。現在、人は自身の存在すらも解明できると、敢えて信じて挑んでいます。これもまた、新たな創造の夢です。

  遠い昔から、このようなことが続いてきました。夢見ることで、人間は世界を変える力に手が届くようになります。夢の時間は全ての時間を包括します。過去、 現在、未来。創造の力は時間移動の能力の中にあります。つまり、過去にさかのぼっていつの日か、存在可能な現在という制限を越えて未来を創りだそうとす る、誰かの夢を探すのです。さらに、このように時間を行き来する中で、新たな創造が成し遂げられるということが続くことでしょう。

 今日 私たちの日常にありふれているものやまだ完成していないものを含めて、歴史を動かした科学的発見や発明は全て、元をたどれば夢でした。なまじ夢を創りだし て後に現実に変換しようという勇気を備えていただけに、同時代の人々から狂人や魔術師とみなされていた、そういう人々の構想の中にだけ存在したものでし た。

 夢を見ずにいられない性質こそが、人が自分を超越する原動力の役をはたしました。自然に介入し、道具や手法や物を作り出し。科学の力のおかげで私たちは歴史を築くができるようになったのです。

  私たちの物語の冒頭を飾るのは、夢の発明タイムマシーンです。タイムマシーンによって私たちが向かう旅路では、人類による偉大な夢や発明の歴史を物語る情 景を通して、科学と技術と芸術が一体となって人に超常的な創造力を与えてきた様子を見ることになります。誰もが夢見たこの機械が時を行き来する中で、人々 の生活を一変させた化学、生物学、物理学の実験の様子が浮かび上がります。

 タイムマシーンはまず、私たちをルネサンス期へといざないま す。鳥類の観察から飛行への欲求が膨らんだ時代です。とても昔からあった夢から、信じられないような結果が生み出されます。実に多くの挑戦がなされ、どれ も極めて興味深いものでした。遠い昔から、空を飛ぼうという望みから、実際に機械仕掛けが考案されていました。これらの「素晴らしきヒコーキ野郎」たち (とその「飛行機」)が、今日の私たちの目には奇異にうつる彼らによる昔の発明の姿を見せてくれます。

 続いて私たちはタイムマシーンを さらなる昔へと向かわせることにしましょう。私たちの機械仕掛けを起動して向かうのは、紀元前3世紀。人類史上で初めて錬金術師が登場したころです。錬金 術師は、魔法使いのような不思議な存在と目され、不思議な液体を用い、既存の物質を薬に変換しようという不可能に挑戦していました。錬金術師に関連して、 どんな物質をも金に変えることができるという「賢者の石」や、不老不死という夢の実現を目指した「エリクサー」なども語られます。化学は錬金術やその不思 議な研究者たちを源としているともいえます。

 私たちのタイムマシーンは19世紀へと進みます。当時発見されて間もなかった電力の可能性 を探るべく、電気や磁力の実験が盛んに行われていた時代です。一部の科学的仮説に基づいて、雷から取り入れた電気によって、死体に生命を吹き込むことが考 えられていました。魔術や超自然的な力に頼るのではなく、電力を応用することで生命を創りだそうというこの考え方が、やがて人類のあり方を変えていくこと になります。今日、電力なしの私たちの日常生活など、想像できません。

 このように何千にもわたって人間が望んだ、人に生命を吹き込み、死をのがれようという、「神を欺く」試みから、ひとつの夢が生じます。続いては、そこからが私たちの次の旅の始まりとなります。

  私たちのタイムマシーンは20世紀に到着します。人類がついに、私たちの身体を支配するやっかいな暗号であるDNAの解読に成功した時代です。このパート では、生命の操作に関わる実験の様子を見ていきます。遺伝子操作の発展によって、新種の生物を創り出す技術までもが目前のものとなりました。哺乳動物のク ローン作成も現実のものとなり、今まで考えられてこなかった人間のクローン作成に関する倫理上の問題ということに、私たちは直面することになりました。ヒ トゲノムマップの作成によって様々な疾病の原因解明が期待される一方、誕生前に人の能力や性格を選択するような未来を想像すると心配になります。DNAを 思いのままにするということは、大昔から人々が目指した不老不死と通じるものです。

 そして私たちは再び19世紀にやってきます。私たち のタイムマシーンを通して出会うのは、突拍子のない旅行を夢見た人々です。当時、想像でしか叶わない夢にすぎなかったもの。地球の中心への旅行。水の中へ 沈み、深い海底を探索する機械。大砲から発射されて月にたどり着くカプセル。結果的に私たちの時代の科学的研究成果の多くを言い当てていたような、当時の 推定。私たちの時代の、原子力潜水艦、潜水ヘルメット、潜水士、宇宙飛行士。こうして私たちは知ることになります。創造の夢が、いかに、夢の実現に変化す るのかを。

 タイムマシーンに連れられて人類史をたどった結果、私たちは、人類の膨大な創造する力、すなわち、いかに不可能に見えようと も、いかにつかみどころの無いものだとしても、夢を現実に変える力、に気づきました。私たちの創造する力には限界がないのだと、そしてそれは、自然が提供 してくれるものをことごとく活用して自分たちの生活をより豊かにする能力が人類には備わっているからだと、私たちは気づきました。

 とにかく人類には落ち着きがありません。次には立ち止まって、こう考えるのです。「で、明日は?」と。

  人類の現在がまた、何かが不可能な時代なのです!人間は、解明すべき全ての謎について疑問を持ちます。そうして新たに創造の夢が生まれます。千年後の人類 はどのような暮らしを送っているのでしょうか?身体の半分を機械化しているとか?医療の進歩によって、病気にかからないようになっているでしょうか?

 ずっと待ち焦がれていた瞬間移動装置で、あるところから他の場所へ何秒かの内に移動することができるようになっているでしょうか?

 私たちのタイムマシーンは、興奮した乗客を乗せて未来への旅路へと向かいます。何かが不可能な時代に、乗客は心の中に創造の夢を抱えて出発します。その夢の実現という技術に未来で出会うことを期待して。

パウロ・バホス

追伸: 本稿の作成に多大な助力をいただいたリオデジャネイロ連邦大学付属科学館の皆さんに、この場を借りて謝意を表します。


(サンバ・エンヘード)
作: ジュランヂール、ヴァンデルレイ、セレーノ、エニウソン

タイムマシーンに乗ってボクは行く
旅に出る (チジューカとともに、キミを連れて)
ルネサンスの時代へと
夢と創造の時代
希望、変化
信じること、挑戦すること
人類の限界を超えること
神を欺き、生命を作り出すこと
空を飛び、宙を舞おうと望むこと

夢見る時代
錬金術の時代
技術力で
完璧にたどり着こうと望むこと

科学技術の分野で
探索は続いている
悪を倒すための飽くなき戦い
歴史の新旧に見え隠れする
不老不死の夢
予言、狂気、魔法
どうしても望む、探検を
月へ、大地へ、海へ
そして未来へと、ボクは行く
まだ解明したい謎に挑む
向かう先は自分で決める
明日はどうなる

ボクは夢見た、そして戦う
この夢をかなえるために
カーニバルのチャンピオン、チジューカとともに

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